ワセカープ(早稲田大学カープ)によるアカデミック講座

ワセカープは早稲田生を中心としたアカデミック・ボランティアサークルです!✊このブログではサークルメンバーが学んでいる専門分野や、ためになる雑学をわかりやすく記事にしました!✨

離婚について考える④

2.離婚の原因は何?(Part2)

前回のブログ「離婚について考える③」では、離婚の根本原因は利己的個人主義であること、また利己的個人主義が離婚の原因になる理由の一つとして「利己的個人主義だと利他的精神が欠如するから」という内容をまとめました。

今日は、利己的個人主義が離婚の原因になる2つめの理由についてまとめたいと思います(3つめの理由は次回の記事でまとめます😅)

 

②利己的個人主義アノミー状態を生み出すから

利己的個人主義が離婚の原因となる第二の理由は、利己的個人主義アノミー状態を生み出すからです。

 

???(。´・ω・)?

 

アノミーってなんじゃ?ってなりますよね(笑)。

私も、この論文を書くためにいろいろ調べていて初めて知った言葉なので、知らない方もご安心ください😉

 

アノミーとは、もともとは「神法の無視」「無規則性」を意味するギリシア語の anomiaが語源ですが,フランスの社会学者 É.デュルケムが,近代に移行する過程で,それまで人間の行為を規制してきた伝統的価値や,社会的規準の喪失に従って社会の秩序が崩壊したことを論じるのに使った言葉だそうです。

 

簡潔にいうとアノミーとは「行為を規制する共通の価値や道徳的規準を失った混沌状態」のことです。

(出典:アノミーとは - コトバンク

 

なるほど...わかったようなわからないような(^^;)

もう少し具体的にしてみましょう。

 

アノミーとは共通の価値観や道徳的規範が失われた状態ですから、基本的に自分のしたいことはなんでもできます

「やりたいことなんでもできるなんて最高じゃん(∩´∀`)∩」とみなさん思ったかもしれません。

 

しかし、実際には、明確な規準やその規準に人々を従わせる社会的組織がない場合、人は自分がしたいことを見出すことが難しくなり、拠り所のない感覚や不安に襲われるようになってしまうそうです。

(出典:ジョナサン・ハイト著、 藤澤隆史 ・藤澤玲子訳 「しあわせ仮説: 古代の知恵と現代科学の知恵」 https://www.amazon.co.jp/しあわせ仮説-ジョナサン・ハイト/dp/4788512327

 

ドア, 選択肢, 選択, 意思決定, 機会, 選ぶ, オプション, 入り口, 決定, 戸口, 代替, 未来

 

確かに、「好きなことなんでもしていいよ」と言われると逆に困ることって割とありますよね。。。

まして、人生において何の指針もないのって自由を通り越して若干恐怖(^^;)

実際に、アノミーな社会では、人生に迷ってしまったり、目的を見出せない人が多くなるため、自殺者が増加する一方で、人々の幸福度は下がってしまうのです。

 

アメリカの社会心理学者ジョナサン・ハイト氏は、アメリカの現代社会にみられる価値観の多様化を懸念しています。

彼は、多様性には人口統計的なもの(人種や民族、宗教、社会的階級など)と道徳的なものの2つがあると主張しています。

人口統計的な多様性とは、以前には排除されていた人種や宗教、社会階級のグループを包括することであり、正義を求めることであるのに対し、道徳的な多様性とは、道徳的な規範や価値観の合意が欠けている状態、すなわち、ここではアノミーを指します。

ジョナサン・ハイト氏は、人口統計的な多様性には賛同する一方で、道徳的多様性に対しては警鐘を鳴らしています。

(出典:ジョナサン・ハイト著、 藤澤隆史 ・藤澤玲子訳 「しあわせ仮説: 古代の知恵と現代科学の知恵」https://www.amazon.co.jp/しあわせ仮説-ジョナサン・ハイト/dp/4788512327

 

アノミーな社会では、人々は道徳的規準に縛られることはなく、自分の好きなことをなんでもできるため、離婚や不倫、家庭内暴力なども、多様性や個人の価値観としてとらえられ、必ずしも悪いことではないということになります。

そして、周りの家族や社会に害を与えたとしても自分の考えや利益を貫こうとする利己的個人主義は、社会共通の価値観や道徳的規準の崩壊につながり、アノミーな社会を生み出す要因になると考えられます。

 

Alkoghol, Narkomaniia, Paghubnaia Privychka, Spirt

 

さて、ここまでアノミーについて説明してきましたが、ここで、具体的にアノミーと離婚との関係をわかりやすく示しているデータを紹介したいと思います。

 

それが、婚前交渉(結婚前に性関係を結ぶこと)と離婚率の関係です。

 

アメリカの研究機関Institute for Family Studies (IFS)によると、離婚と婚前交渉には強い相関関係あるといいます。

IFSが結婚経験のある女性を対象に調査を行ったところ、結婚するまで性関係を持たなかった女性の離婚率が最も低いという結果が現れました。

例えば、下のグラフの2000年代の結果(黄色い折れ線グラフ)を見てみると、性関係を持たずに結婚した女性の5年後の離婚率はたった6%なのに対し、1人と性関係を持った女性の離婚率は20%に跳ね上がっています。2人と婚前交渉をした場合の離婚率はさらに高く、30%にもなります。

 

wolfinger sex partners divorce figure 1

 グラフ「婚前交渉を行った相手の数(横軸)と結婚5年後における離婚率(縦軸)」

(出典:Counterintuitive Trends in the Link Between Premarital Sex and Marital Stability | Institute for Family Studies

 

結婚前に1人と性関係を持った場合、その相手の男性は将来の旦那さんである可能性が高いと考えられますが、それでも結婚前に性関係を持つか持たないかでこんなにも離婚率に違いが現れるのは驚きですね。

 

ちなみに、アメリカでは、結婚するまで純潔を守る女性の割合は年々減っており、1970年代には21%の女性が婚前交渉の経験がなかったのに対し、2010年代には、この割合は5%にまで下がってしまっています😢

 

では、結婚するまで純潔を守る女性には、どのような特徴があるのでしょうか?

 

その特徴の一つとして挙げられるのが、結婚するまで性関係を持たない女性は毎週教会の礼拝に参加している割合が高いということです。(グラフ参照)

 

wolfinger sex partners church attendance figure 2

 グラフ「婚前交渉を行った相手の数(横軸)と毎週教会の礼拝に参加する女性の割合(縦軸)」

(出典:Counterintuitive Trends in the Link Between Premarital Sex and Marital Stability | Institute for Family Studies 

 

キリスト教イスラム教の価値観では、結婚前に性関係を結んではいけないことになっています。
毎週礼拝に行っているということは、それだけ教会の教えを大事にしていることの表れであり、そのような価値観を持っている女性は、結果として結婚まで純潔を守る割合が高くなるということです。

アノミーな社会では、結婚するまでは性関係を結んではいけないなどという制限はありませんので、キリスト教イスラム教などの厳格な規準に対して窮屈に感じたり不自由に感じるかもしれません。

今の日本社会も、性に対する価値観は多様化してきているといえると思います。

しかし、実際には、婚前交渉はいけないという明確な価値観・道徳的規準を持っている方が、結婚後には安定した家庭を築ける可能性が高くなるのです。

 

このように、利己的個人主義は、「結婚前に性関係を結ぶべきではない」という伝統的価値観や道徳的規準を喪失させてアノミーな状態を作り出し、離婚の増加をもたらすといえます。

 

まとめ・感想

今回は、利己的個人主義が離婚の原因になる第二の理由として、利己的個人主義アノミーについて語らせていただきました。

少し難しい部分もあったと思いますが、一言で言うと、共通の価値観や道徳的な規範がない社会は、自分の好きなことはなんでもできるけれど、それは社会や家庭、そして最後には自分自身の崩壊をもたらすいうことです。

 

現代の日本社会は、物質的には豊かになった一方で、高い自殺率や伝統的価値観の喪失など、アノミーな状態が見受けられると感じます。離婚したければしてもよい、という価値観も、アノミーの表れだといえると思います。

 

私たちのサークル「ワセカープ」では、普遍的価値観として統一原理を学び、明確な人生の指針や目標をもって日々活動しています。また、将来幸せな家庭を築くために純潔を守ることも大事にしています。

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